心霊探偵八雲の文庫版を1から3巻まで一気に読んだ。
一時期やたら新聞広告に出ていたので、一度読んでみたかった。個人的に新書版挿絵が好きだったので、文庫版で絵を変えるのはどうよと思えたのだが、内容に修正を加えているならこっちが完全版なのだろうと理解。
その内容だが、ライトノベルに近いものだったので驚いた。どうも新書版挿絵でイメージを膨らませすぎていたらしい。大学生の主人公とヒロインに、脇役の刑事もその部下も週刊誌の記者さんもクセのあるのが揃っていて大層判りやすい。推理モノだが謎解きも素直で、どんな人にも読みやすい。これはドラマ化や漫画化したのも判る。
ただ私はもっとダークな本格派推理物と思っていたので、どうも読んでてがっかりした。"霊の見える真紅の左目を持つ青年・八雲"の設定が自分の中で思いっきり一人歩きしてた。だから"真紅の両眼を持つ八雲の父"が2巻で出てくるとあざとさを覚えたし、刑事の部下がオチでいっつも走り出してコケるのを見ると殴りたくなる。それと話の内容とは別に、2巻で特に気になったのが、三人称の地の分に割り込む一人称の不自然さだ。修正入れててコレとは、気になっているのは私だけなんだろうか。
推理物として見れば、1〜3巻の中で3巻が一番良かった。ただいろいろ乱読して、もはやイイ大人になった身としては、今更面白がれる作品ではなかった。
★★★☆☆