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月と蟹/道尾 秀介
道尾 秀介
文藝春秋
(2010-09-14)

子供っていうのは残酷な生き物だ。純真でありながら、時に非道なことを平気でする。
慎一が春也と興じたヤドカリを火で炙る遊びは、大人から見れば眉を顰めるものだけれど、子供達から見れば"ヤドカミ"様にお願いを聞いてもらう神聖な儀式だ。ライターの火で炙り、出てきたヤドカリを祭壇にささげ、火の力で天に返す。
"お金持ちになりたい"と祈った儀式の後に500円を拾ったことで、2人はヤドカリ様のお祈りに夢中になる。
でも何処かで疑いを持ち、これがただの遊びだと悟ってもいる。そんな矛盾だらけな生き物が子供なんだよなとしみじみ思った。
鎌倉の海辺の町で、母と祖父と暮らす慎一。祖父は昔船に乗っていたが事故で片足をなくし、父親は1年前に癌でなくなっている。
春也は大阪からの転校生で、時々体に痣をつけたり腹をへこませて登校する。
少年時代の友情を描いた作品は多いけれど、この2人が真の友情で結ばれていたのかと云えばなんとも云えない。クラスのはみ出し者同士がくっついて一緒に遊ぶようになり、魚の罠を作って小魚を捕まえたり、閉店した店の裏に潜り込んだりと楽しい時を過ごしながら、大人と子供の境目で揺れる心は、時に相手に対してこれまでと反する感情を抱いたりする。
母親の後ろに見え隠れする男の影、暴力を振るう父親、祖父の足、祖父が足をなくした事故で死んだ女性の娘・鳴海との交流…。
子供が天使じゃないってことは知ってるけれど、でも子供には汚いものは見てほしくないし、汚いものに触れてほしくない。そう思うのは自分が年取ってきたからだろうか。
坂道を転げ落ちるように暗い方へと進んでいった慎一が、済んでのところで踏みとどまったことにほっとした。
★★★☆☆

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