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2018.05.10 Thursday
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管理人の読書BLOG。乱読傾向過多!!来るもの拒まず手当たり次第。内容責任取れません。
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5本の連作短編のうちの、1本目『ミクマリ』は女による女のためのR-18文学賞受賞。
本そのものも2011年本屋大賞2位。
"ミクマリ"ってなにかと思ったら、最後の方に出てくる"水分(みくまり)神社"のことだったのね。
R-18の作品基準にははまってるんだろうけど、私はあまり好きとは思えなかった。
たまたま訪れたコミケ会場で知り合った女・アンズに誘われ、アンズのシナリオに基づいてコスプレでセックスする卓巳の心情がどうも理解出来ない。なんで卓巳は本名も知らない人妻を本気で好きになったんだろう…。
この作品から作者が想像力を羽ばたかせた残り4本の方が良かった。
人からズレているばかりにいじめに遭い、流れのままに結婚していたアンズや、コスプレ写真を撒き散らされて不登校に陥った卓巳をそれでも好きな七奈(むしろこちらの方がR-18賞を受賞して良かったのでは? ソフトすぎて駄目だろうか)、団地の貧困生活から抜け出そうと、バイトと祖母の世話をしながら勉強に打ち込み始める卓巳の親友セイタカ、…。
でもこの本が本屋大賞2位を取ったのは、最後の描き下ろし『花粉・受粉』ではないか。
女手一つで卓巳を育てた母親は助産婦をしており、その仕事の場面がとても印象的。金を無心する別れた夫や、引き籠る息子を心配しながら、それでも命を生み出す現場でひたむきに働き続ける彼女。
どれだけ心の中に穢れや鬱屈を抱えていたとしても、生まれる・生きるということがそれだけが素晴らしく尊いもののような気がした。
★★★★☆